【体験】婦人保護施設での「退所を祝う最後のメイクケア」


退所が決まった入居者様からのお願い


現在、婦人保護施設でソシオエステティックのインターンシップをさせていただいておりますが、先日、嬉しい出来事がありました。


(ソシオエステティックについては、ブログ記事 「ソシオエステティシャンは楽な仕事ではありません!」 をご参考ください。)


初回から担当させていただいていた入居者様が、退所が決まったと嬉しそうにご報告くださりました。


今回は、最後の施術だということだったので、

「何かメイクについて困っていることや聞いておきたいことはございますか?」

とおたずねしたところ、


「特にないから、今日は記念にメイクをしてほしい。」

とご依頼されました。


わたしは、はっとしました。

(そうか!メイクにはそんな役割もあったんだ。)



新たに発見したソシオエステティックの役割


日本では昔から「門出を祝う」という習慣があります。


成人式には、着物などを着て化粧をして祝います。


「門出を祝う」とは、人生の節目を迎えた人に対して祝福し、激励し、応援することを言います。


いつもなら自立支援のため、レッスン形式でメイクの仕方をアドバイスしながらメイクをするのですが、今回はささやかながらお祝いの気持ちをこめてメイクさせていただきました。


初回は「わからないから」とメイクのカラーもお任せだったのが、今回は自分が使ったことのないカラーを試してみたいとのことでした。


やわらかいブラウンのアイブロウ

目元を明るく引き立てるオレンジ系のアイカラー

上品で大人っぽいブラウン系のリップ


メイクが仕上がると、鏡に映るご自分の顔を覗き込んで、

「あなた、だーれ?」

と冗談混じりに、まだ見たことのない新しい自分を発見したかのようでした。


今回、新たなメイクの効果を発見しました。

「門出を祝うメイク」

困難を克服して、これからの旅立とうとする方の「背中を押す」「勇気づける」「励ます」メイクです。


改めてメイクの力はすごいと感じました。

また、そんなことができるソシオエステティックの仕事は素敵だと思いました。


ソシオエステティックは一期一会


施術後、入居者様が、

「ありがとうございました!また‥(お願いしますと言いかけて)そうだった、これで最後だった。」

と少し、寂しそうだったので、


「ずっと、覚えていますよ。」

とお答えしました。


「えっ、ずっと?」


「だって、初めて担当させていただいたから、忘れるわけありません。」


また施設に戻って来られない限り、二度とお会いすることはありません。

ソシオエステティックの活動は「一期一会」

一度限りのことも少なくありません。


施設からご依頼を受けているため、個人的に連絡を取り合うことはないのです。


また、婦人保護施設の場合、個人情報は保護されているため、お名前すら知らないのです。


でも嘘ではなく、この日のことをきっと一生、忘れないだろうと思いました。



インターンシップでは、毎回、ご利用者様から気付かされることが多くて、新鮮な気持ちでいっぱいです。


ソシオエステティックでの本当の先生は、目の前のご利用者様なのかもしれません。



ソシオアシス

SOSIOASIS(ソシオアシス)はフランス語で社会を表すSOCIO(ソシオ)とOASIS(オアシス)を合わせた造語です。 社会の困難や厳しい状況の中での安らぎや安息の場所でありたいという意味が込められています。

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